【相談事例】相続税申告における税理士の役割と、遺産分割協議を税理士が行うことの可否

ご相談者様
50代 女性
会社を経営していた父親が亡くなり、兄が会社を引き継ぐことになった。兄が、会社が依頼していた税理士を通じて、相続税申告の申告と遺産分割協議を持ち掛けてきた。
ご相談の背景
父親の相続が発生し、「相続税の申告」と「遺産分割の話し合い」という二つの大きな課題が生じています。
相続税の申告は、税金の専門家である税理士に依頼していますが、その税理士が遺産分割の話し合いにも関与してきているようです。
税理士は会社が依頼している税理士で、信用して良いのか不安になってきました。
弁護士へのご相談内容と弁護士による回答
■ご質問1
「相続税の申告は、税理士が行うものという理解で合っていますか。」
■弁護士による回答
相続税の申告は、税理士の独占業務(税理士法第2条)です。
被相続人(亡くなった方)の財産や債務を評価し、相続人ごとの取得財産を計算して、税務署に申告・納税するまでをサポートします。
税理士が行う主な業務は、以下のようなものです。
• 財産目録の作成
• 相続財産の評価(不動産、株式など)
• 相続税の計算・申告書の作成
• 納税方法(延納・物納など)のアドバイス
このように、税理士は「税金の計算と申告」の専門家として重要な役割を果たします。
■ご質問2
「遺産分割協議も、税理士が行うことが可能なのでしょうか。」
■弁護士による回答
「遺産を誰がどれだけ相続するか」を話し合う遺産分割協議は、法律上の権利義務に関する行為です。
この協議を代理して行うことや、相続人間の合意内容を調整することは、弁護士法第72条の「法律事務」に該当します。
そのため、税理士が相続人の代理として遺産分割協議を行ったり、協議内容を調整したりすることは、弁護士法違反(非弁行為)となるおそれがあります。
税理士ができるのは、あくまで税務上の視点からの助言(たとえば「どの分け方が税負担を抑えられるか」)にとどまります。
■ご質問3
「今回の遺産分割協議は、税理士が関与し過ぎており、兄の味方をしている気がしてなりません。法律上問題はないのでしょうか。」
■弁護士による回答
たとえば、税理士が「兄が自宅や会社の不動産を相続し、ご相談者様が預金を相続すればよいのでは」と提案してきた場合、その内容が相続人の法的権利調整を伴う場合は、法律事務に踏み込むおそれがあります。
その結果、税理士が非弁行為を指摘される、相続人間で後にトラブルが起きても責任の所在が不明確になる、といった問題が発生することもあります。
あくまでも、税金の計算は税理士が、相続人間の調整や遺産分割協議書の作成は弁護士が担当すべきです。
■ご質問4
「税理士と弁護士とで、できることに違いがあるということでしょうか。」
■弁護士による回答
まとめると、次の表のようになります。
参考にしていただき、税理士と弁護士の役割分担をご理解いただき、税理士が出過ぎていると感じたのであれば、弁護士に相談し、場合によっては遺産分割協議を弁護士に依頼すると良いでしょう。
項目 税理士ができること 弁護士が行うべきこと
| 項目 | 税理士ができること | 弁護士が行うべきなこと |
| 相続税の申告・計算 | 〇 | ー |
| 相続財産の評価 | 〇 | 〇 |
| 遺産分割協議の代理・調整 | × | 〇 |
| 遺産分割協議の作成(法的調整を伴うもの) | × | 〇 |
相続税申告において税理士に疑問を感じたり、相続税申告と別に遺産分割協議が争いになっていたりするケースでは、弁護士へご相談ください。宇都宮市の弁護士法人松本直樹法律事務所では、このような事例に関する解決事例が多数ございます。ぜひご相談ください。



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