遺産分割に関連する訴訟について
遺産分割に関連する訴訟の種類
遺産分割に関連する訴訟には、いくつかの種類があります。
調停も裁判所における手続という意味では広い意味での裁判の1つですが、訴訟の代表例は、遺産分割が協議でまとまらず、調停でもお互いが譲り合わずに不成立になった場合に移行する「審判」があります。審判は、当事者双方の主張と証拠に基づき、遺産分割について裁判官が決定(審判)を下します。この審判は家庭裁判所における手続です。
しかし、家庭裁判所における審判以外に、そもそも遺産分割を行うにあたっての前提問題や付随問題のレベルで双方の主張が対立しているような場合には、地方裁判所に、民事訴訟を申し立てる必要があります。
遺産分割に関連する、地方裁判所における民事訴訟には、主に3種類があります。
- 相手方に相続人の地位が存在しているかを争うもの
- 遺産(相続財産)の範囲について争うもの
- 遺言書の有効性・無効性を争うもの(いわゆる遺言無効訴訟)
があります。
それぞれ見ていきましょう。
遺産分割審判
相続が発生して、相続人の間で遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。また、調停がまとまらない場合には、調停が自動的に審判に移行し、裁判官が決定(審判)を下します。
詳しくは、遺産分割調停や審判のページをご覧ください。
(遺産分割調停や審判について詳しくはこちらバナー)
相手方に相続人の地位がそもそも存在しているかを争う訴訟
これは、相続人の地位不存在確認訴訟と呼ばれる訴訟です。相手方に、相続人として被相続人の財産を受け取る権利が存在するか、について争われるものです。
相続人の地位不存在確認訴訟を起こすケースとしては、例えば、被相続人である夫が死亡し、戸籍上の相続人には、後妻と、後妻の子、先妻との子の3人がいる場合を考えてみます。その場合に、先妻の子が、後妻と後妻の子に対して、それぞれに相続の欠格事由があるとして、相続人としての地位が認められないとして、後妻の相続人の地位を争うというケースが考えられます。
(相続人関係図を追加)
※相続の欠格事由とは
→「推定相続人に、被相続人に対して相続人としての地位を与えることがふさわしくない」ということを相続欠格と言います。相続欠格が認められる事由のことを「相続の欠格事由」と言います。例えば、相続人が被相続人を殺害した場合、相続人が脅迫等で無理やり被相続人に遺言書を書かせた場合などがあります(民法891条)。欠格事由が認められると、相続人としての地位が失われることになります。このような重大な結果を及ぼす事柄については、家庭裁判所の調停や審判ではなく、地方裁判所の訴訟において解決しようという制度になっているわけです。
遺産(相続財産)の範囲について争う訴訟
相続人の範囲について争う訴訟は、「遺産確認訴訟」と呼ばれています。
「遺産確認訴訟」とは、相続財産になるべき遺産(相続財産)が、遺産の範囲に含まれているかという点について争われる訴訟です。
例えば、遺産確認訴訟を起こすケースとして、父が亡くなり、相続人が子2人の兄弟である場合を考えてみます。
父の死亡後に、父の預貯金が兄に移されている場合に、その預貯金が相続財産の範囲に含まれると弟が主張して争われるケースが考えられます。
遺言書の有効性・無効性を争う訴訟(いわゆる遺言無効確認訴訟)
遺言無効確認訴訟とは、被相続人が生前に遺していた遺言書に対して、その遺言書が法的に無効であると主張して起こす訴訟のことです。
遺言無効訴訟を起こすケースとして、例えば、母が亡くなり、相続人が、母と同居していた姉と、弟の2人であった場合を考えてみます。
母が亡くなり、遺言書が出てきて、遺言書のとおりに相続手続をしようとしたところ、弟から、遺言書が作成された時期が、母が認知症であり遺言書など作成できるはずがなかったとして、遺言書が無効であると主張して訴訟を起こすケースが考えられます。
当事務所では、相続・遺産分割に関連する訴訟についてのサポートをさせていただきます。
遺産分割の協議や調停の段階で、上記のような前提問題や付随問題そのものに争いがある場合で、話し合っても平行線を辿る可能性が高いというケースの場合、時間と費用は発生してしまいますが、訴訟も視野に入れるべきです。
ただ、訴訟を提起するかどうかの判断は、相続の全体像の中で、訴訟の結果などを想定して行うべきであって、判断するのが難しい場面です。
遺産分割審判や訴訟での勝訴できる可能性や、訴訟になった場合の流れなどについては、事前に弁護士にご相談いただき、方針を決定すると良いでしょう。
当事務所では、弁護士歴10年以上の豊富な経験から、遺産分割に関連する訴訟に関する見通しや可能性を判断し、解決方法や方針をご提案させていただきます。
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