相続人が遺産を開示してくれない場合、どうすればよい?
親と同居していた兄弟が遺産を隠したり、遺産の内容を教えてくれない場合は、同居していない子は、正確に遺産を把握していないことが多いですし、全くわからないということもあります。
このような場合には、弁護士から、遺産を管理している相続人に対し、遺産の開示を求めることで、任意の開示を受けられる場合も多々あります。
しかし、遺産を管理している相続人が、それでも遺産の開示を拒んだ場合、どうすればよいのでしょうか?
このような場合には、遺産を管理している相続人に対し、強制的に遺産内容を開示させる手段や手続はありません。
遺産隠しでよくあるトラブル例
こんなお悩みはございませんか?
- 亡母の遺産を分け合いたいが、母と同居していた姉が遺産の内容を教えてくれない
- 施設に入っていた亡父の預金を管理していた叔父が、通帳を見せてくれない
親と同居していた他の相続人(兄弟など)が遺産を隠したり、遺産の内容を教えてくれない、などといった事態がよくあります。
親と同居していなかった子は、正確に遺産を把握しておらず、どこに、どのような遺産があるのかといったことすら、把握していないということがあるわけです。
相続に関するご相談をお受けしていると、相続人のうちの一人が故人の財産を管理しており、他の相続人が遺産のことを知りたくても教えてもらえない、というお悩みを耳にすることがあります。
このように相続財産を管理している方の協力が得られない場合、隠された財産が使い込まれていないかが心配となります。
そこで、他の相続人から財産を開示してもらえない場合に取りうる手段につき、ご説明いたします。
遺産を隠されたらできることは?
(1)弁護士から開示の依頼をする
弁護士から遺産を管理している相続人に対して遺産の開示を求めると、開示に応じてくる、ということがよくあります。当事者本人には開示したくなかったが、弁護士に対してであれば仕方なく応じるということです。
(2)相続財産調査をする
しかしながら、遺産を管理している相続人が、他の相続人に対して遺産の内容を開示しなければならない法律上の義務はありません。そのため、被相続人の財産を管理していた相続人が遺産を開示しない場合は、他の相続人は自力で調査しなければなりません。
以下では、財産の種類ごとに説明いたします。
預貯金を使い込むケース
遺産を管理している相続人からすれば、預貯金は最も手を付けやすい財産といえます。
通帳を見せてもらえない場合でも、金融機関名・支店名・口座番号が分かっていれば、金融機関において通帳の内容を調べることができます。
口座名義人(被相続人)の法定相続人であることを証明できる戸籍謄本、身分証明書を窓口へ持参することで、相続開始日の残高証明書や、過去の取引明細を取得することができるのです。
そして、金融機関から取得した取引明細から、死亡前の不自然な引き出しや送金の流れを辿ることができるようになります。場合によっては、相続人による財産の使い込みの証拠とできるだけでなく、金融機関が窓口で口座名義人の死亡を確認することで、口座が凍結されて入出金ができなくなるため、それ以上の使い込みの防止にもなります。
もし、取引していた金融機関が不明な場合は、被相続人の最後の居住地近くに支店があるなど、思い当たる金融機関に対して口座の有無の照会をかけていかなければなりません。
不動産を勝手に売却するケース
被相続人の実印や権利証(登記識別情報通知書)を管理している相続人が、被相続人の生前に、これらを用いて、勝手に不動産を売却してしまっていたというひどいケースもあります。
他方で、被相続人の死亡後において、被相続人名義の不動産を売却するには、まず不動産の名義を被相続人から相続人の名義に変更することが必要です。その場合は、相続人全員の同意なしに、特定の一人の名義への変更はできませんから、不動産を売却などされることはありません(なお、遺言書がある場合は別です。)。
なお、被相続人の不動産につき、相続人が不動産に関する情報を開示してくれない場合には、次の方法で被相続人名義の不動産を調べることができます。
・市町村役場で、固定資産税課税台帳(名寄帳)を取得する。
※複数の市町村に不動産を所有していたときは、それぞれの市町村で手続をする。
・法務局で、不動産登記事項証明書を取得する。
※登記事項証明書は、最寄りの法務局で、すべての不動産について取得できます。
保険を勝手に解約しているケース
遺産の使い込みには、相続人の一人が被相続人の加入する生命保険を勝手に解約して、解約返戻金を受け取っているというひどいケースもあります。
たしかに、被相続人の生命保険の保険金の受取人が一人の相続人に指定されている場合であれば、保険金は、その相続人の固有の財産となり、相続財産とはならないのが原則です。
しかし、保険金の受取人が契約者である被相続人本人とされている場合も多く、この場合は、各相続人が、法定相続分に従い、保険金を受け取る権利を取得します。
被相続人が、どの保険会社と、どのような契約をしていたか、いつ解約されたのか、といった点を調べるには、保険会社から被相続人宛ての郵便物や保険証券が一番の手がかりとなります。
もっとも、これらを管理する相続人が開示してくれない場合には、相続人として思い当たる保険会社に1社ずつ照会をかけていくしかありません。先に預貯金の取引履歴を取得しておくと、通帳の内容に保険料の引落しがあれば、その保険会社との契約があったことが推測できます。
相続調査を弁護士に依頼するメリット
(1)相続人の協力が得られない場合の相続財産調査は困難
他の相続人との遺産分割協議に臨む前に、財産調査をしっかり行っておく必要があります。
しかし、相続人の一人が遺産の内容を開示してくれない場合は特に手当たり次第に調べていかなければならない場面もあるわけで、大変な労力がかかります。
(2)弁護士に依頼するメリット ―23条照会とは
こうした問題に対し、弁護士に財産調査を依頼することができます。
財産調査のご依頼をいただいた場合、戸籍謄本などの必要書類の収集の段階から、弁護士にお任せいただくことができます。
そして、弁護士が代理人として、預貯金や不動産等を調査することができます。
さらに、金融機関等が開示を拒否してくることもあるのですが、そのような場合でも、弁護士に相続問題をご依頼いただければ、弁護士会を通じて金融機関や保険会社、行政機関に対して一定の調査を行うことができます。こうした調査を、23条照会や弁護士会照会といいます。
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