被相続人の世話を全くしていなかった相続人との間でも平等に遺産分割されるのでしょうか?
寄与分というものを主張し、被相続人の世話を行ってきた方の相続分が増加することがあります。
遺産分割の際に寄与分というものを主張することで、相続人間の公平を図ることができます。
寄与分というのは、相続人の中に、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者がある場合に、他の相続人との間の実質的な公平を図るために、その相続人に対して、相続分以上の財産を取得させる制度のことをいいます(民法904条の2)。相続人間の実質的な公平を図ることを目的として設けられた制度です。
寄与分は、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をしたと評価できる場合に限り、認められます。
例えば、通常、業者に依頼すればお金がかかることを無料でやってあげたという場合です。注意すべき点は、介護を行ったというだけでは寄与分が直ちに認められるとは限らないという点です。寄与分が認められるためには、相続人(夫婦や直系血族、兄弟姉妹間)の扶養義務に通常期待されている範囲を超えるほどの貢献や寄与が必要とされています。
また、寄与分を主張できるのは、原則として、相続人だけです。
寄与分が認められた場合、相続分の計算は次のとおりとなります。
寄与分が認められた相続人の実際の相続分=みなし遺産(③)×法定相続分+寄与分(②)
相続人=妻A、子BとC
実際の遺産総額5000万円(①)-寄与分1000万円(②)=みなし遺産4000万円(③)
<寄与分が認められた妻Aの実際の相続分>
みなし遺産4000万円(③)×法定相続分2分の1+寄与分1000万円(②)=3000万円
<子BとCの実際の各相続分>
みなし遺産4000万円(③)×法定相続分4分の1=1000万円
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