相続人・相続財産を調査したい方
相続人調査の方法
相続人調査で必要となる作業は、①被相続人の一生分の戸籍謄本などから、被相続人の婚姻関係、親子関係、きょうだい関係を確認すること、②そのうえで、民法に規定されている相続順位に従って相続人を確定することの2つになります。
被相続人の一生分の戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍)を集める
戸籍の収集において重要な点は、「生まれたときから死ぬまで」の全ての戸籍を収集することです。なぜなら、婚姻すると、それまでの戸籍から出て新しい戸籍に入ることになる(除籍といいます。)ため、婚姻前の戸籍を収集しないと、被相続人の両親、祖父母、兄弟姉妹、さらには甥姪などを把握することができないからです。特に、被相続人に子がないケース(被相続人の両親等が相続人となるケース)では、必ず「被相続人が生まれたときから死ぬまで」の全ての戸籍を収集しましょう。
ここで、「全ての戸籍」の意味について補足します。戸籍とは、人の氏名、出生の年月日、本籍、戸籍に入った原因(婚姻等)、実父母の氏名等が記載されたもので、現在戸籍、除籍、改製原戸籍の3つに分かれます。
現在戸籍
現時点での戸籍の情報をまとめたものです。婚姻、離婚、子の出生、死亡等の事由が生じると内容が変更されますので、公的機関等に提出する場合には発行から〇か月以内のものが要件となるなど、最新のものを提出することが求められます。
除籍
戸籍内の人が死亡、失踪宣告、婚姻、養子縁組、分籍、転籍等により全て除かれたときは、もともと戸籍謄本であったものが除籍謄本となります。すでに閉鎖された戸籍のため、内容が変更されることがありません。
改製原戸籍
改製原戸籍も既に閉鎖されたものであるため、その内容が変更されることがありません。改製原戸籍は、法改正や様式の変更により戸籍謄本を作り替えられたことで閉鎖された点が除籍と異なります。
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相続人を確定する
全ての戸籍を取集したら、被相続人の配偶者、子、親、祖父母、兄弟姉妹など相続人に該当し得る人物を探し、家系図を作成しましょう。
そのうえで、民法に規定されている相続順位(第1順位は子、第2順位は直系尊属、第3順位は兄弟姉妹。配偶者は常に相続人)に従って、相続人を確定します。
もっとも、被相続人に子がない場合は、両親が離婚している場合の親権者ではない親、祖父母、兄弟姉妹の生死を確認するために追加で戸籍謄本等を収集する必要もあります。この場合は、戸籍の収集と相続人の確定を同時並行で進めることになります。
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相続放棄をした人がいる場合
法定相続人の中に相続放棄をした人がいる場合は、その人は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされます。この場合は、不動産の名義変更などの際に家庭裁判所発行の相続放棄申述受理証明書が必要になりますので、まずは相続放棄をした人に交付を依頼しましょう。
相続放棄をした人から相続放棄申述受理証明書の交付がないため、相続放棄をしたかどうかはっきりしない場合は、まずは、家庭裁判所に相続放棄の申述の有無について照会しましょう。これに対する回答の結果、相続放棄をした人の存在が明らかとなったときは、利害関係人として家庭裁判所に相続放棄受理証明書の交付を申請することになります。
相続人調査を専門家に依頼すべき理由
このように、相続人調査は、遺産分割を行うための重要な調査で、戸籍謄本などを丁寧に読み解いて相続人を確定する作業ですが、相続人の人数が多いケース、離婚や再婚を繰り返しているケースなどでは、大変骨の折れるものとなります。
また、市区町村の戸籍を取り扱う窓口は、平日の日中しか対応していないことが多く、同時間帯に働いている方にとっては戸籍の収集それ自体が難しいこともあります。郵送による戸籍謄本等の請求も可能ですが、書類作成の手間や切手・定額小為替の購入など、面倒だと感じられる方も少なくありません。
そのため、重要な相続人調査を確実に行うためにも、また、ご自身の時間を有効活用するためにも、相続人調査は専門家に依頼することをお勧めします。特に弁護士の場合は、早期に何が問題になり得るかを把握し、対策を検討することが可能です。それにより、よりスムーズな遺産分割に至ることが可能となりますので、相続人調査は弁護士にご依頼ください。
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