亡き夫の愛人に対して遺留分侵害額請求は可能か?

「夫が亡くなった後、夫が愛人に対して多額の財産を遺すという遺言が見つかった」 「生前、夫が愛人に対して相当な額の貢ぎ物をしていたことが発覚した」
このような事態に直面した際、残されたご家族(正妻や子)は、その不当な財産の移転を取り戻したいと考えるのは当然のことです。
本記事では、愛人や不倫相手との間で、相続を巡る法律上のルールについて、弁護士が分かりやすく解説します。
そもそも愛人に相続権はあるのか?
日本の法律において、愛人や不倫相手には、夫の相続権は一切認められません。
相続権を持つのは、法律上の配偶者と、子・親・兄弟姉妹といった一定の血族に限られています。したがって、たとえ長年同居していたとしても、婚姻届を出していない「愛人」や「不倫相手」が当然に夫の遺産を引き継ぐことはありません。
ただし、亡くなった夫(被相続人)が遺言書を作成し、愛人や不倫相手に財産を譲る(遺贈)と定めていた場合や、生前に財産を贈与していた場合には、愛人や不倫相手が夫の財産を取得することになります。
愛人に対して遺留分侵害額請求はできる?
夫が遺言などで愛人に多額の財産を譲ってしまった場合でも、正妻や子には、「遺留分(いりゅうぶん)」という最低限の取り分が保障されています。
もし、夫の財産が愛人に渡ってしまい、相続人の取り分が侵害されているのであれば、愛人に対して、その不足分を金銭で支払うよう請求することができます。これが「遺留分侵害額請求」です。
愛人のような「相続人以外の第三者」への生前贈与が請求の対象となるのは、原則として以下のケースです。
- 亡くなる前1年以内に行われた贈与
- 遺留分を侵害することをお互いに知って行われた贈与(この場合は1年前より古いものも対象になる可能性がある)
なお、かつての制度(遺留分減殺請求)では現物を返還させるのが原則でしたが、2019年の法改正により、現在は金銭での解決を求める仕組みへと変更されています。
愛人との間に子がいる場合はどうなる?
もし夫と愛人の間に子がいた場合で、夫がその子「認知」しているときは、その子は法律上の相続人(非嫡出子)となります。
認知された子は、正妻との間の子と同じ順位の相続人となり、相続分も遺留分も同等の権利を持ちます。そのため、愛人本人は相続人になれなくても、夫から認知された子が相続人として遺産分割協議に加わったり、遺留分を主張したりする可能性があるため、注意が必要です。
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遺留分侵害額請求において弁護士を利用するメリット
遺留分侵害額請求を確実に行うためには、弁護士のサポートが極めて有効です。
①正確な財産調査と計算
遺留分の算定には、亡くなった時の財産だけでなく、過去の贈与を含めた複雑な計算が必要になります。
②厳しい期限の管理
遺留分請求には、「侵害を知った時から1年」という非常に短い時効があります。弁護士であれば、内容証明郵便の送付などで迅速に時効を阻止する手続を代行します。
③精神的な負担の軽減
愛人や不倫相手との直接交渉には大きな苦痛を伴います。弁護士が窓口となることで、感情的な対立を避け、法的な議論に集中できます。
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