【遺産分割協議】これだけはやってはいけない!後で揉めるNG 行動と注意点

相続は誰にでも起こり得る出来事です。
相続に伴って相続トラブルが発生することは実に多くあります。
うちは揉めないと思っている方であっても、いざ相続が発生するとトラブルになってしまうということも多々あります。
相続トラブルは、何も相続人間でトラブルが起こった場合だけではなく、自分で相続手続を進めた場合にも起こります。
本記事では、自分で進めた相続でよくある失敗例をご紹介したいと思います。
失敗例1:後から新たな相続人が見つかった
相続の手続が完了した後に、新たな相続人が見つかったということがあります。
遺産分割協議は相続人全員揃って行う必要があります。したがって、後から新たな相続人が見つかった場合には、原則として遺産分割協議をやり直す必要があります。遺産分割は相続人全員の合意が必要であり、新たな相続人が判明した場合、以前の遺産分割は無効となるわけです。
では、なぜ、後から新たな相続人が見つかるということがあるのでしょうか。
例えば、後から新たな相続人が見つかるケースとして、次のような場合があります。
①戸籍調査の不足
遺産分割協議の際に、被相続人の出生から死亡までの戸籍を十分に確認しなかった場合や、隠し子や認知された子供などが後から見つかることがあります。
②胎児の相続
相続開始時に胎児だった子が後に生まれた場合、その子が新たな相続人となります。
民法では、胎児は相続に関しては、既に生まれたものとみなすと規定されています(民法886条1項)が、これは、胎児が生まれてくることを条件に、相続開始時に遡って権利を取得するという考え方(停止条件説)に基づいています。したがって、胎児の間は相続手続を進めることができないということになり得るわけです。
③死後認知
被相続人が亡くなった後に、子から認知の手続が取られた場合、その子も相続人となります。
④遺産分割後に離縁や離婚の無効が確定した場合
遺産分割後に、相続人と被相続人の間の離縁や離婚が無効と確定した場合、新たな相続関係が発生することがあります。
新たな相続人が見つかった場合の対応
では、新たな相続人が見つかった場合、どのような対応が必要となるのでしょうか。
①遺産分割協議のやり直し
新たな相続人を加えて、再度遺産分割協議を行う必要があります。
②相続登記
新たな相続人が判明した場合、土地などの不動産の名義変更(相続登記)もやり直す必要があります。
③相続税の修正申告
相続税の申告後に新たな財産が発見された場合、修正申告が必要になる場合があります。
当然,税務署への連絡も必要となります。
なお、相続税の申告期限を過ぎてから新たな財産が発見された場合、過少申告加算税や延滞税などが課される可能性があります。
失敗例2:後から多額の借金が見つかった
被相続人を相続すると、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(負債や借金等)も引き継ぐことになります。
当初はマイナスの財産はないと思っていたけれども、それまで知らなかったマイナスの財産が発覚した場合はどのようにすれば良いのでしょうか。
①遺産を相続する前に、マイナスの財産が発覚した場合
自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内であれば、家庭裁判所に相続放棄を申し立てることができます。相続放棄した場合には、プラスの財産も承継できませんが、一切のマイナスの財産も承継しないとすることができます。
自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月を経過してしまった場合には、相続放棄をすることは原則としてできません。ただし、3か月を経過した後であっても、例外的に相続放棄をすることができる場合も存在しますから、弁護士に相談することをお勧めします。
②遺産分割が終わり遺産を相続した後に、マイナスの財産が発覚した場合
被相続人の相続を放棄すれば良いわけですが、①相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき、②相続人が熟慮期間中に相続放棄等をしなかったとき、③相続人が相続放棄等をした場合であっても、相続財産の一部を隠匿し、私にこれを消費したとき等には、法定単純承認といって、相続放棄ができないこととされます(民法921条)。
ただし、遺産分割協議を行っていたとしても、遺産分割協議自体が錯誤によって無効になる場合(大阪高裁平成10年2月9日決定)や、自らは被相続人の遺産を全く承継することがないと信じて、公正証書遺言から逸脱していた不動産に関してのみ遺産分割協議書を作成したような場合(東京高裁平成12年12月7日決定)には、例外的に「処分」に該当しないと判断した裁判例もあります。
失敗例3:遺産分割協議書の内容が不十分で、銀行の手続ができなかった
遺言書がある場合には、遺言書の記載に従って、遺産を受け取る方が銀行等に行き預貯金の解約・払戻し等の手続をします。
これに対し、遺言書が無い場合には、すべての相続人において遺産分割協議を行う必要があります。遺産分割協議が整った場合、遺産分割協議書を作成しますが、その遺産分割協議書の内容が不十分であったために、銀行で手続ができないというケースがあります。
各預貯金の具体的な記載が曖昧だったり、誰が何を相続するのか不明確だったりした場合等があります。
このような場合、遺産分割協議をやり直して、きちんとした遺産分割協議書を作成し直す必要があります。
失敗例4:相続人の一人が認知症で、協議が無効になった
相続人の一人が認知症で判断能力がない場合、その相続人が参加した遺産分割協議は無効になる可能性があります。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要であり、意思能力のない相続人の合意は無効とみなされるためです。最近では特に高齢者や障がい者が相続人となるケースが増えており、遺産分割協議を行う判断能力がなかったということが多くあります。
遺産分割協議が無効になってしまった場合、成年後見制度を利用するなどした上で、きちんと遺産分割協議をやり直すことになります。
成年後見制度というのは、家庭裁判所に申し立てて、本人の代わりとなる後見人を選任してもらう手続です。そして、裁判所で選任された弁護士などの成年後見人等が遺産分割協議に参加して手続を行うことになります。
失敗例5:良かれと思い、一人が代表で手続を進めたら「財産を隠した」と疑われた
他の相続人に手間をかけさせないよう、良かれと思って、相続人の一人が代表で手続を進めた結果、他の相続人から「財産を隠した」と疑われるケースは、相続手続におけるよくあるトラブルの一つです。
これは、相続人間の情報共有不足や、手続の進め方に関する認識のずれから生じることが多いです。
例えば、以下のような事例があります。
①情報開示の不足
相続財産の全容を把握していない相続人が、一部の相続人が勝手に手続を進めていると、財産を隠しているのではないかと疑念を抱くことがあります。特に、被相続人の預貯金口座や不動産の情報が共有されていない場合、不信感が募りやすいです。
②手続の進め方の違い
相続手続には、遺産分割協議、相続登記、相続税申告など様々なものがありますが、それぞれの進め方や必要な書類について、相続人間で認識が異なることがあります。一人が代表して手続を進める場合、他の相続人が知らないうちに手続が進んでしまうため、結果的に「財産を隠している」と誤解されることがあります。
③不当な利益を得ようとする意図
悪意のある相続人が、他の相続人に無断で財産を処分したり、隠蔽したりするケースも存在します。この場合、財産隠しは意図的なものとなります。
以上より、相続手続は、相続人全員が協力し、透明性を持って進めることが重要です。
一人が代表で手続を進める場合でも、他の相続人への情報開示を徹底し、不信感を与えないように注意することが大切です。もし、財産隠しを疑われた場合は、速やかに弁護士などの専門家へ相談し、適切な対応を取るようにしましょう。
失敗例6:相続税の申告期限を過ぎてしまった
相続税の申告期限(10か月)を過ぎた場合、加算税(無申告加算税か重加算税)や延滞税といった、二重のペナルティが課せられます。
さらに、節税に繋がる特例や税額控除を適用できなくなり、結果として相続税額が高くなるというデメリットもあります。
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