被相続人の役員貸付金は相続できる?注意点を弁護士が解説!

「社長だった父親が亡くなった。父親が会社にお金を貸していたようだが、これは相続できるのか?」
「会社名義の口座に父親の個人マネーが入ったままだが、どうやって取り戻せばいい?」
中小企業のオーナー社長や役員が亡くなった際、「被相続人が会社に貸していたお金(役員借入金・貸付金)」が残されているケースは非常に多くあります。
この会社への貸付金は、目に見える現金や不動産と違って見落とされがちですが、立派な相続財産です。しかし、その取り扱いや回収方法には、法律上・税務上の非常にデリケートな問題が潜んでいます。
今回は、会社への貸付金がどのように相続されるのか、その回収方法や相続税の落とし穴、さらには使途不明金トラブルへの対処法まで、弁護士が分かりやすく解説します。
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1 被相続人が会社に貸していたお金は相続財産になるのか?
結論から言うと、被相続人が会社に貸していたお金(貸付金)は、貸付金債権という名前のプラスの相続財産(遺産)として扱われます。
「会社が返してくれないかもしれないから、価値はゼロなのでは?」と思われがちですが、法律・税務上は原則として額面通りの価値がある財産として相続税の課税対象になります。
2 貸付金債権は「遺産分割協議」を経ずに分割承継される!
不動産や預貯金は、相続人全員で遺産分割協議をしないと名義変更や引出しができません。
しかし、会社に対する貸付金は、最高裁判所の判例上、可分債権(分けることができる債権)に分類されます。そのため、遺産分割協議をしなくても、相続開始と同時に、法定相続分に従って各相続人に当然に分割して引き継がれます。
具体例
被相続人が経営していた会社に対し、1200万円の貸付金があったとします。
相続人が、後を継いだ長男と、会社に関係のない長女の2人(法定相続分2分の1ずつ)の場合
長男: 600万円の貸付金債権を相続
長女: 600万円の貸付金債権を相続
この場合、長女は「長男(新社長)の同意」を得なくても、会社に対して直接「自分の取り分である600万円を返しなさい」と単独で請求・回収することができます。
※ただし、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議の対象として「長男が1200万円の債権をすべて引き継ぐ」と決めることも可能です。
3 会社から貸付金を実際に回収する方法
では、引き継いだ貸付金債権をどのようにして会社から回収すればよいでしょうか。主な方法は以下の3つです。
①会社と交渉して一括・分割で返済してもらう
最も穏便な方法です。会社の資金繰りに問題がなければ、返済期日や返済方法(例:毎月〇万円ずつ返済)を盛り込んだ「債務承認弁済契約書」などを交わし、返済を受けます。
②法的手段に踏み切る
会社(後を継いだ新経営者など)が「返済する義務はない」「そんなお金はない」などと返済を拒否した場合、裁判を起こして(貸金返還請求訴訟)、判決に基づいて会社の銀行口座や財産を差し押さえることになります。
③生前対策
まだ被相続人が元気な場合、そのまま多額の貸付金を遺すと相続人に迷惑がかかるため、貸付金を会社の株式に振り替える「DES(デット・エクイティ・スワップ)」を行ったり、計画的に一部を放棄(債務免除)したりする生前対策が有効です。
4 相続税評価と納税資金の注意点
貸付金が相続財産になることで、相続人には以下のような大きなリスクが発生することがあります。
リスク①:回収できないのに「高い相続税」だけがかかる
同族会社の場合、会社が赤字で「実際には1円も返済能力がない」状態であっても、原則として貸付金の額面金額のままで相続税評価が行われます。
(※破産手続開始が決定しているなど、客観的に回収不能と証明できる極めて例外的な場合しか、評価減は認められません)。
つまり、「回収できない幻の1000万円」に対して、しっかり相続税が課税されてしまうのです。
リスク②:納税資金のショート
不動産や現金であれば、それを切り崩して相続税を払うことができます。しかし、「回収できない貸付金」は手元に現金が入ってこないため、相続人は「自分の預貯金」から身銭を切って相続税を納税しなければならなくなります。
このような事態を防ぐためにも、経営者の方は「元気なうちに対策」を打つ必要があります。
5 「使途不明金」の疑い・回収でお悩みの場合も当事務所へ
「被相続人が会社にお金を貸していたようだが、契約書がない」
「亡くなる直前に、会社の口座に父親の個人マネーが数千万円移動しているが、何に使われたか分からない」
こうした「会社への使途不明金(不審な資金移動)」をめぐる親族間のトラブルは、会社の支配権争いも絡んで非常に複雑化しやすいのが特徴です。
弁護人法人松本直樹法律事務所では、以下のようなステップで、使途不明金や未回収の貸付金の調査・回収をサポートいたします。
①銀行口座の履歴照会・調査
過去数年分の口座の動きをあぶり出し、個人から会社へ流れた不審なお金を徹底的に追跡します。
②証拠の確保と精査
「貸付金」なのか「贈与」なのか、また会社の帳簿(役員借入金の計上など)と照らし合わせ、法的に請求可能かを判断します。
③相手方(新経営陣)との代理交渉・裁判
弁護士があなたの窓口となり、会社側と冷静に交渉を行います。拒否された場合は、速やかに裁判手続きに移行し、金銭の回収を目指します。
6 生前対策・遺産相続トラブルは弁護士法人松本直樹法律事務所へ
会社の役員借入金・貸付金の相続は、単なる相続手続にとどまらず、会社の資金繰り、経営権の行方、税金対策、親族間の感情対立が複雑に絡み合う極めて専門性の高い分野です。
弁護人法人松本直樹法律事務所では、経営者の方の生前の相続税・事業承継対策から、相続発生後の貸付金回収、使途不明金をめぐる紛争解決まで、多角的な視野からご家族に最適なソリューションをご提案いたします。
まずは一度ご相談ください。法律の専門家である弁護士が、解決の糸口を一緒に見つけ出します。



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