生前贈与は相続税対策になる?2024年改正の注意点を宇都宮の弁護士が解説!

「将来、家族に多く財産を遺したい」「相続税の負担を少しでも減らしてあげたい」
そうお考えの方にとって、もっとも身近で取り組みやすい対策が生前贈与です。
しかし、生前贈与はただ財産を渡せばよいというものではありません。正しく行わなければ、後から高い税金がかかってしまったり、将来の相続で家族間のトラブル(争続)を引き起こしたりする原因にもなりかねません。
今回は、相続対策としての生前贈与の基本から、知っておくべき最新ルール、そしてトラブルを防ぐためのポイントまで、弁護士がわかりやすく解説します。
1 そもそも「生前贈与」とは?相続対策としての位置づけ
生前贈与とは、自分が生きているうちに、特定の誰か(子や孫など)に財産を無償で譲り渡すことです。
2 相続対策における「生前贈与」の役割
被相続人が亡くなったときに発生する「相続」に対し、生前贈与は「生前から計画的に進められる財産移転」という位置づけになります。
生前贈与の主なメリットは以下の3点です。
・将来の相続財産(課税対象)を減らせるため、相続税の節税につながる。
・財産を「今、本当に必要としている人(教育資金や住宅購入資金が必要な世代)」へタイムリーに渡せる。
・誰に何を渡すかを自分の意思で100%コントロールできる。
3 生前贈与の2つの仕組み
①暦年贈与(れきねんぞうよ)
毎年1月1日から12月31日までの1年間(暦年)に受け取った財産が「110万円以下」であれば、贈与税がかからないという仕組みです。
何人に贈与しても、受け取る側1人あたり年間110万円まで非課税となるため、長期間かけてコツコツ複数人に贈与するのによく使われます。
②相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんかぜいせいど)
原則として60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫へ贈与する際に選択できる制度です。
累計2500万円までの贈与には贈与税がかかりません。ただし、この制度を使って贈与した財産は、将来贈与者が亡くなったときに「相続財産」に足し戻されて相続税が計算されます。
※税制改正により、この制度にも年110万円の基礎控除が新設され、年110万円以下の贈与分については相続発生時にも足し戻す必要がなくなりました。
4 生前贈与加算(持ち戻し)が「3年から7年」に延長!その対処法とは?
生前贈与における近年の重要トピックが、「生前贈与加算(持ち戻し)」の期間延長です。
①生前贈与加算(持ち戻し)とは?
亡くなる直前に駆け込みで生前贈与をして相続税を逃れるのを防ぐため、「亡くなる前の一時期に贈与された財産は、相続財産に足し戻して相続税を計算する」というルールです。
この足し戻し期間が、税制改正によりこれまでの「3年間」から「7年間」へと順次延長されています。
②7年延長への具体的な対処法
・「1日でも早く」贈与をスタートする
持ち戻し期間が7年に延びたということは、健康なうちに、できるだけ若いうちから贈与を始めなければ節税効果が出にくくなったことを意味します。「元気なうちから早く始めること」が最大の対策です。
・「持ち戻しの対象外」になる人へ贈与する
生前贈与加算の対象となるのは、原則として「相続や遺贈によって財産を受け取る人(主に配偶者や子)」です。
後述する「孫」や「子の配偶者」など、法定相続人ではない人への贈与は、原則としてこの7年間の持ち戻しルールが適用されません。
これらを上手に活用するのが極めて有効な対策となります。
5 生前贈与を相続税対策として活かすためのポイント
生前贈与の効果を最大化するためには、以下の2点に注目しましょう。
①贈与のタイミング
財産を渡すタイミングは、贈与する側の「健康状態」と「財産の性質」を見極める必要があります。
将来値上がりが予想される財産(開発予定地近くの土地や、成長が期待できる株式など)がある場合は、価格が低いうち(=今)に贈与しておくことで、将来の相続税評価額を大きく抑えることができます。
②「孫」や「子の配偶者」への贈与
前述のとおり、孫や子の配偶者(義理の息子・娘)は原則として「相続人」ではないため、亡くなる前7年以内の贈与であっても相続税の足し戻し(持ち戻し)対象になりません。
世代を1つ飛び越えて孫に財産を移転できるため、相続税を1回分スキップできるという意味でも、非常に効率的な節税対策になります。
6 生前贈与でトラブルにならないための注意点
生前贈与は税金面だけでなく、「法律面(特に親族間の感情・もめごと)」でのトラブル予防が重要です。以下の4つに注意してください。
①特別受益(とくべつじゅえき)
特定の子どもだけが自宅の購入資金や多額の生前贈与を受けていた場合、それを「相続財産の前払い(特別受益)」とみなされ、将来の遺産分割時にその子の取り分を減らされる(持ち戻される)仕組みがあります。
「自分だけずるい」と他の兄弟から不満が出て、泥沼の争いに発展するケースが多いです。
②遺留分(いりゅうぶん)算定の基礎への算入
遺留分とは、一定の相続人に最低限保障されている遺産の取り分のことです。
特定の人へあまりに多額の生前贈与を行い、他の相続人の遺留分を侵害してしまうと、贈与した側が亡くなった後に「遺留分侵害額請求(お金を取り戻す請求)」を起こされてしまうリスクがあります。
③名義預金(めいぎよきん)
「子どもや孫の名義で口座を作り、そこに毎年110万円ずつ貯金していた」というのはよくあるケースですが、これが税務署から「名義預金(名義は子供だが、実質的な管理者は親であるため親の財産)」とみなされるケースがあります。
名義預金と判定されると、せっかくの贈与が認められず、相続発生時に「親の遺産」として課税されてしまいます。
④使途不明金と疑われないための「贈与契約書」と「記録」
名義預金と疑われないため、また後から他の親族から「勝手に引き出したのでは?」と使途不明金を疑われないためには、以下の対策が必須です。
・贈与の都度、お互いの合意を示す「贈与契約書」を作成する。
・現金手渡しではなく、銀行振込を利用して通帳に確実な記録(履歴)を残す。
・通帳や印鑑、キャッシュカードは、もらった本人(子や孫)自身が管理・保管・使用する。
7 遺言とあわせた「ワンストップ対応」のメリット
生前贈与を行う際は、単体で考えるのではなく、「遺言書の作成」とセットで計画を立てることをお勧めします。
|
メリット |
具体的な効果 |
|
不公平感の解消 |
生前贈与で生じた偏りを、遺言書(遺産の分け方の指定)や「付言事項(なぜそのように分けたのかのメッセージ)」で補完し、家族の納得感を生み出せる。 |
|
遺留分対策 |
贈与と遺言のトータルで遺留分をシミュレーションし、将来の紛争リスクをゼロに近づける。 |
|
最適な制度選択 |
家族信託、任意後見、生前贈与、遺言など、複数の引き出しから最もご家族に合う解決策を組み合わせられる。 |
これらを税金面(税理士等の視点)と法律面(弁護士の視点)の双方から同時にアプローチすることで、本当の意味での「安心な終活」が実現します。
8 生前対策・遺言をご検討の方は弁護士法人松本直樹法律事務所へ
生前贈与は、家族の将来を明るくするための素晴らしい手続です。しかし、やり方を一つ間違えると、税務署からの指摘や、残されたご家族の紛争を生んでしまいます。
弁護人法人松本直樹法律事務所では、ご相談者様が築き上げてこられた大切な財産を、最もスムーズに、そして円満に次の世代へ引き継ぐためのサポートを行っております。
疑問やご不安に、法律の専門家である弁護士が親身に寄り添い、丁寧にお答えいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
▼関連記事はこちら▼



相続のお悩み・お困りごとならまずは弁護士に無料相談!
弁護士法人松本直樹法律事務所の
地元密着で弁護士歴10年以上
近年大手の法律事務所がCMや広告などを用いて大々的に宣伝をしております。では、果たしてそのような大手の法律事務所が本当に良い事務所なのでしょうか。 中には、弁護士に会ったことすらないまま事件処理が進んで行ったり、担当弁護士はいつも東京の事務所にいて面談や打合せを設定してくれないなどというケースがあります。 このような進め方で良い仕事などできるはずがなく、皆さまにとっても重大な不利益をもたらすことがあります。 当事務所は、事務所開設以来ずっと宇都宮市に事務所を構えておりますし、これを変えることもありません。 地域密着、地元密着だからこそ、弁護士との距離が近く、親身になり徹底的にご相談に応じることが可能となるわけです。

累計相談実績3,400件超(2026年7月まで)
代表弁護士は、弁護士になってから12年が経過しており(2023年6月時点)、法律相談件数は、通算で2000件を超えています。 相続を適切に処理する弁護士になるためには、相続案件を多数解決してノウハウを蓄積し、先を見通す力を身につけなければなりません。そのため、当事務所の弁護士はより専門的で高度な法的サービスを提供できるように日々アンテナを張り巡らせ、県内外の研修などにも数多く出席し、研鑽を怠りません。 お悩みや不安等がございましたら、遠慮なくご相談いただければ幸いです。

不動産・土地の相続問題に強い
不動産が関係する相続は、不動産の特性、不動産の評価、不動産の分割方法など、専門的な知識やノウハウが必要になります。 当事務所は、不動産会社様からご依頼いただく案件も多く、不動産に関する事件を多く取り扱っております。不動産に関しては十分な知識・経験がないと思わぬトラブルや損失を招くことがありますので、不動産が関係する相続については、ぜひ当事務所にお任せください。

他士業との連携で、ワンストップでの
迅速な対応が可能
相続の問題は実に多岐分野に渡り、相続登記は司法書士、相続税申告は税理士など、各分野における専門的な知識と経験が必要となります。 当事務所は、複数の分野の専門家が力を合わせることで、相続の問題をワンストップで解決することを目指しています。また、各専門家との連絡や情報共有を迅速に行うことによりスムーズな解決を図ることが可能です。

完全個室で秘密・プライバシーを厳守
せっかく法律事務所に法律相談に行ってみたのに、事務員や配達の人などに話の内容が全て聞こえてしまって、話したいことも話せなかったということがあります。 当事務所では、相談室を完全個室にしております。 パーテーションで部屋を区切るのではなく、完全な個室とさせていただいております。 これにより、誰の目を気にすることなく、法律相談に集中していただくことが可能となっております。 ※夜間相談は要相談

無料相談の流れ

- お電話、メールフォームまたはLINEで相談予約
- まずは、お電話・メール・LINEにて、あなたのお困りごとの概要をお伺いします。

- ご相談・費用のお見積り
- 弁護士がご相談にお越しいただいた方のお話をお聞きした上で、とるべき戦略と今後の見通しについてご提案いたします。費用のお見積りもいたします。

- ご契約・サポート開始
- サポート内容、費用にご納得いただければ契約締結になります。契約後は問題解決に向けて、サポートをさせていただきます。









