医療機関ならではの相続と承継のしくみとは?弁護士が解説

医療機関(クリニック・病院)の相続や事業承継は、一般的な会社や個人の相続とは法律やルールが全く異なります。
医師免許は相続できないため、事前の対策を怠ると「突然休院せざるを得なくなった」「多額の税金や親族間トラブルが発生した」ということになりかねません。
本記事では、医療機関ならではの相続の仕組みと注意点について、弁護士が分かりやすく解説します。
クリニック・医療法人の相続における注意点とは?
医療機関の相続で最も注意すべきなのは、「医療の継続性」と「財産の分配」を同時にクリアしなければならないという点です。
☆医師免許・歯科医師免許は相続できない
当然ですが、資格は一代限りのものです。後継者が医師(歯科医師)でない場合、そのまま診療所を引き継ぐことはできません。
☆「出資持分」をめぐる親族間トラブル
古い医療法人に多い「出資持分のある医療法人」の場合、この持分が非常に高額になっているケースがあります。医師である後継者にすべてを譲ろうとすると、他の兄弟から「不公平だ」と遺留分(最低限もらえる遺産の取り分)を主張され、深刻な争いに発展することがあります。
個人開業と医療法人での相続の仕組みの違い
個人で経営しているクリニックと、医療法人化している場合では、相続の仕組みが大きく異なります。
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個人開業のクリニック |
医療法人(持分あり) |
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相続の対象 |
土地、建物、医療機器、医療費の請求権など「個人の財産すべて」 |
法人の「出資持分」(※役員の地位は相続されません) |
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後継者が未定の場合 |
開設者が死亡した時点で原則廃止。猶予期間(通常6か月)内に手続が必要。 |
理事長が死亡しても、法人は存続。ただし後任の理事長(医師)の選任が必要。 |
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手続の複雑さ |
保健所への廃止届、後継者の新規開設許可申請など、手続きが非常に煩雑。 |
定款(ていかん)の変更や、都道府県への役員変更届などが必要。 |
よくある誤解と放置リスク
☆よくある誤解:「子どもが医師だから、放っておいても大丈夫」
お子様が医師であっても、自動的にクリニックを継げるわけではありません。個人開業の場合、一度「廃止」して「新規開設」する手続が必要です。この間、保険診療ができない空白期間が生まれてしまうリスクがあります。
☆よくある誤解:「医療法人の出資持分は、国に没収されるんでしょ?」
社団医療法人のうち「持分あり」と呼ばれる法人の場合、出資持分は立派な「財産」として相続人に引き継がれます。放置すると、医療に全く関係のない親族にクリニックの財産権が分散してしまう原因になります。
☆放置することのリスク
何の対策もせず相続が発生すると、「銀行口座が凍結されてスタッフへの給与や医薬品の支払いができない」「親族間で財産が分散し、経営権が乗っ取られる(経営に介入される)」といった最悪の事態を招く恐れがあります。
スムーズな相続のために弁護士を依頼するメリット
医療機関の相続・承継には、医療法という特殊な法律の知識が不可欠です。弁護士に依頼することで、以下のメリットがあります。
☆「遺言書」の作成で親族間トラブルを未然に防ぐ
後継者にスムーズに経営権を集中させつつ、他の親族とも揉めないための法的に有効な遺言書を作成します。
☆定款の変更や、出資持分の整理
トラブルの種になりやすい「出資持分」を、国や法人の状況に合わせて適切に処理・整理(持分なし法人への移行など)するサポートを行います。
☆行政手続(保健所・厚生局)のスケジュール管理
診療を1日も止めないために、どのタイミングでどんな届け出を出すべきか、スケジュールを緻密に組み立てます。
クリニック・医療法人の相続でお困りの方は弁護士法人松本直樹法律事務所へご相談を
医療機関の事業承継は、「元気なうち(生前)」に対策を始めることが何よりも重要です。タイミングが遅れるほど、選択肢は狭まってしまいます。
「将来、子どもにクリニックを譲りたい」
「自分が倒れたら、このクリニックはどうなるのだろう?」
「医療法人の出資持分の問題で悩んでいる」
少しでも不安や疑問をお持ちの院長先生、理事長先生は、まずは一度弁護士法人松本直樹法律事務所へご相談ください。医療現場の継続と、先生が築き上げてこられた大切な財産を守るために、専門知識を持った弁護士が親身にサポートいたします。



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