Q 遺留分を侵害する内容の遺言書は無効になるのか?

【Q&Aで解決】遺言と遺留分の関係を弁護士が分かりやすく解説!
「遺言書の内容を確認したら、特定の相続人だけに全財産を譲る内容になっていた」 「自分の遺留分が侵害されているが、このような偏った遺言書は法律上無効になるのだろうか?」
遺言書の内容が特定の相続人に偏っている場合、遺留分(法律上、一定の相続人に保障された最低限の遺産取得割合)を侵害された相続人としては、遺言そのものが無効になるのではないかと考えることは少なくありません。
しかし、結論から申し上げますと、遺留分を侵害しているという理由だけで遺言書が無効になることはありません。遺言書自体は有効であり、権利を侵害された相続人は別途法的な手続をとる必要があります。
今回は、多くの方が抱きがちな誤解を解消し、遺留分を侵害された際の正しい対応策についてQ&A形式で解説します。
Q1. 自分の遺留分を一切認めない内容の遺言書が見つかりました。この遺言書は無効ですか?
- 遺言書自体は無効にはなりません。遺言は法律上有効として扱われます。
遺言者は、生前に自分の財産を誰にどのように残すかを自由に決めることができるのが原則です(遺言自由の原則)。そのため、「長男にすべての財産を譲る」「次男には一切財産を渡さない」といった内容の遺言書であっても、遺言書としての法的要件(自筆証書遺言の形式や公正証書遺言の成立要件など)を満たしている限り、遺言書全体が無効になることはありません。
ただし、遺言によって遺留分を侵害された相続人には、法律上「遺留分侵害額請求権」という権利が認められています。遺言が無効にならないからといって、侵害された遺留分をあきらめなければならないわけではありません。
Q2. 遺留分を侵害されている場合、相続人は具体的にどのような請求ができますか?
- 「遺留分侵害額請求」を行うことで、侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを請求できます。
2019年(令和元年)7月の民法改正により、遺留分の制度は大きく変わりました。法改正前は、遺言によって譲渡された不動産や株式などの所有権そのものを分け合う「遺留分減殺請求」という制度でしたが、現在は「金銭による清算(遺留分侵害額請求)」に一本化されています。
具体的には、遺言によって多大な財産を取得した受遺者や他の相続人に対し、侵害された遺留分の割合に相当する金額を計算し、金銭で支払うよう請求することになります。不動産などの現物を直接共有状態に戻す請求ではなく、金銭の支払いを求める請求にとどまる点に注意が必要です。
Q3. 遺留分侵害額請求を行う際、期限や注意すべき注意点はありますか?
- 相続の開始及び遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から「1年」で時効となります。
遺留分侵害額請求権には、非常に短い消滅時効が定められています。
①行使の期限(消滅時効)
「相続の開始(被相続人の死亡)」及び「遺留分を侵害する遺言や贈与があったこと」の両方を知った時から1年間、請求を行わないと時効により権利が消滅します。また、これらの事実を知らなかった場合であっても、相続開始の時から10年が経過すると請求できなくなります(除斥期間)。
②意思表示の方法
1年という短い期間内に権利を行使したことを客観的に証拠として残すため、通常は内容証明郵便(配達証明付き)を送付して遺留分侵害額請求の意思表示を行います。口頭での請求では、後から「期限内に請求を受けていない」と主張された場合に証明が困難となるため、早期に弁護士へ依頼して手続を進めることが重要です。
Q4. 遺言を作成する側として、遺留分トラブルを未然に防ぐ方法はありますか?
- 遺留分に配慮した文言の調整や、付言事項の活用、生前贈与の整理などが効果的です。
ご自身の意思に基づき特定の相続人に多く財産を残したい場合でも、遺留分を完全に無視した遺言を作成すると、ご自身の死後に相続人間で激しい紛争が生じるリスクが高まります。
・遺留分相当額の金銭を確保できるよう財産配分を調整する
・遺言書の末尾に「付言事項(ふげんじこう)」を記載し、なぜそのような配分にしたのかという心情や感謝の気持ち、親族間の円満を望む意図を書き残す
・生前贈与や生命保険(受取人指定)などを活用し、遺留分侵害額請求の対象となる財産を整理する
専門家である弁護士と相談しながら遺言書を作成することで、遺留分に配慮しつつ、ご自身の想いを実現する遺言書を完成させることができます。
Q5. 遺留分や遺言書に関するトラブルを弁護士に依頼するメリットは何ですか?
- 正確な遺留分の計算、相手方との交渉、調停・訴訟手続の代理まで一括して任せられる点です。
遺留分の計算は、被相続人が死亡時に有していた財産だけでなく、生前贈与の有無や内容、特別受益の評価、債務(借金)の控除など、極めて複雑な法的判断を伴います。
弁護士へご依頼いただくことで、以下のメリットが得られます。
・複雑な遺産調査を行い、正確な遺留分侵害額を算定できる
・内容証明郵便の作成・送付により、1年の消滅時効を確実に中断(権利行使)できる
・感情的になりがちな親族間の交渉を弁護士が代理し、直接相手方とやり取りするストレスを軽減できる
・交渉で解決しない場合も、速やかに遺留分侵害額請求調停や訴訟へ移行して権利の実現を図れる
遺言・遺留分でお悩みなら弁護人法人松本直樹法律事務所まで
「遺言書の内容に納得がいかない」「遺留分を請求したいが期限が迫っている」「遺留分に配慮した遺言書を作成したい」など、遺言や遺留分に関するお悩みをお持ちの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。
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